カルカソンヌの戦略【基礎編】
カルカソンヌ日本選手権で一回だけ三位まで上り詰めたことある人が、カルカソンヌの戦略について語ってみちゃうよ。
といっても、今回は基本的なものだけね。
この記事で対象にしているのは、以下のような人達。
- カルカソンヌを最近始めたばっかり
- ルールは分かるけど、勝つための定石みたいのがまだよくわからない
カルカソンヌ初心者の方が、中級者に上がるための基本戦略解説ってわけです。
基本的に1対1の大会ルールを前提に話してます。
3人以上の集団戦に関しては、また別だとお考え下さい。
競技方法 | カルカソンヌ日本選手権(Carcassonne Japan Open 2012)
基本的な考え方編
基本的な考え方1 まず、とにかくタイルを覚えよう
基本中の基本です。
これが出来ないと、中級者の第一歩にも入れない。
カルカソンヌではあらかじめタイル枚数が決まっています。
だからまず、それぞれのタイルが何枚ずつあるのかを覚えて下さい。
そして最終的には、試合中にどの形のタイルが何枚場に出てて、山にはあと何枚眠ってるのか、そういうことが考えられるようになりましょう。
(ただ、全てのタイルの残り枚数を把握することは、どんなプロでも難しいのでそこまでしなくても大丈夫です。試合展開に応じて、今の自分に必要なタイル、相手にとって必要なタイル等だけカウントできるようになりましょう)
基本的な考え方2 巨大城は目指さない。
初心者がついついやりがちなのが、巨大城の完成を目指すことです。
しかし巨大城は完成までに非常に時間がかかるため、相手に邪魔されやすく、あいのりされやすいです。
それだったら、タイル二枚だけを使って城を完成させるほうが、得点効率は同じなのに、安全度は高いため有利です。
(タイル10枚を使って城を完成させたとしても、10×2=20点。
しかし、2枚を使って城を完成させた場合、2×2で4点で得点効率は同じ。
だったら安全性の高い方が……という話)
上級者同士の戦いでは、互いに邪魔し合うので、巨大城はまず完成しません。
巨大城よりも、小城を複数完成させる方が安全ということを覚えておきましょう。
基本的な考え方3 ミープルは安全なところにしか置かない
上級者同士の戦いでは、あっという間にミープルを殺されてしまいます。(後述しますが、存在しないタイルの形に周囲を固められ、回収不可能な状態にされてしまうことです)
ですので、危なっかしそうなところにはミープルを置かないようにしましょう。
引いたタイルの形、場の状況等から、安全そうな場所がどこにも無い場合は、そのターンは得点を得ることは諦めましょう。
代わりにそのタイルは、相手の城や道が完成しないように邪魔することに使いましょう。
基本的な考え方4 序盤はどんどんミープルを置くべき
3と矛盾するようですが、序盤に関してはよっぽどでない限り、どんどんコマを置いていきましょう。
何故なら、序盤であればまだ残っているタイルが豊富なので、どんなに邪魔されてもなんだかんだで生き残れる可能性が高いからです。
序盤はどんどんミープルを置き、中盤に一気にそれを回収、終盤で草原や巨大城(未完成でも10点くらいは入りそうなもの)に置いていけるのが理想形です。
攻め手編
基本の攻め手1 「あいのり」
相手がミープルを置いている城・道に繋がるように自分のミープルを置くことです。
基本ですね。
例えば、相手が5タイル使った巨大城を完成させようとしていたとしても、あいのりに成功してしまえば両者同得点にできるので、実質的に相手がその城を築くまでに消費してきた5手を、こちらの2手(仕掛け→繋ぎ成功)で潰してしまったも同然です。
これでは相手は3手失ったのと同じことなので、基本でありながら非常に強力な戦法です。
基本の攻め手2 「殺し」
相手がミープルを置いている城・道・修道院を、絶対に「完成できない形」に周囲を囲んでしまうことです。
カルカソンヌでは既に置かれているタイルと矛盾するようにはタイルを配置できません。
ですので、こうなってしまうとそのミープルは、二度と回収できない「死んだミープル」となります。
相手のミープルを全て殺せるのが理想ですが、実際はなかなかそううまくはいきません。
しかし、ミープル数で勝っていれば、後述の「止め」という戦法に派生できます。
基本の攻め手3 「止め」
やることは「あいのり」と同じなのですが、意味合いが異なる使い方です。
例えば自分はまだミープル数に余裕がある時に、相手がラスト1個のミープルを場に投入したとします。(相手のこれ以外のミープルは全て、死んでいるか草原に置かれているものとします)
この場合、そこにすぐに「あいのり」をしかけましょう。
ただし、仕掛けるだけ仕掛けておいて、繋げないで下さい。
そのまま放置してください。
こうなると相手としては、あいのりされているタイルをわざわざ自分で繋げなければいけなくなり、大幅な「無駄な手番」を生むことになります。
これも基本ではありますが、非常に強力な戦法です。
ただ、ここまで奇麗に決まることはまずありません。
実際には、こちらが3ミープル、相手が2ミープルらへんの状況になったところから、一つずつ「止め」を積み重ねていき、相手の行動選択肢を狭めていく流れになるでしょう。
あいのりとの違いは、あいのりは得点の相殺を目指す戦術なので、相手のミープルが置かれているのが「タイル1枚だけの城・道」だった場合、それに対して「仕掛け→成功」と行うと、相手が1手失うのに対してこちらは2手失っているのでマイナスになってしまいます。
ですので、こういう場合は「あいのり」を仕掛けるべきではありません。
しかし「止め」の場合は、相手自身に繋げさせて手番を失わせる戦術なので、相手のミープルが置かれているのがタイル1枚だけの城・道だったとしても、行うべきです。
基本の攻め手4 「肥大化」
4方向の全てが城面のタイル・3方向が城面のタイルは、だいたい使いづらいです。
1方向だけが城面のタイルなら、ミープルを置いたその翌ターンには完成してミープルを回収できる可能性があります。
しかしこういう大きいタイルは、ミープルを置いてから回収に至るまで数ターンかかります。
前述の通り、巨大城はあまり効率が良くないので、これらのタイルを引いたとしても、安易にミープルを置くべきではありません。
代わりに、相手の城に置いてしまうという戦法があります。
相手が1面だけ城面のタイルにミープルを置いてるとします。
そこに4面が城面のタイルを繋げた場合、相手はそれを回収するまでに最速でも3手かかります。
実際にはそううまいこと引けることは無いでしょうから、かなりの手番を稼ぐことができます。
前述の「止め」と合わせて使うと非常に効果的です。
ただ、城は未完成でも最終的にタイル枚数×1点が入るので、あまりやりすぎないように注意。
長くなって来たのでここらで一旦切ります。
とりあえず今回は本当に基本中の基本の、戦術・考え方を幾つか紹介してみました。
実際はこれらの戦術を、場の状況に応じて色々と使い分けることになります。
ただ、どの戦術にしても根底にあるのは、「相手の得点効率を下げ」「こちらの得点効率を上げる」ということです。
自分のこの一手によって、相手の手番を幾つ消費させれるか、それは自分の手番消費に対して見合っているか、それを忘れないようにしてください。
あ、そうだ最後に考え方をもう一つ追加。
「1手に複数の意味をもたせるようにしよう」
常に実現するのはなかなか難しいのですが、非常に大事な考え方です。
可能な限り、1手に複数の意味を持たせるようにしましょう。
例えば、「自分の城を閉じると同時に、相手の城を閉じづらくなるように邪魔をする」等のことです。
全ての手に複数の意味を持たせることは難しいですが、これを意識しているだけで大きく違ってきます。
このゲームは最終的に相手よりも1点でも上回っていれば勝ちとなるゲームです。
なので、自分の手番の意味を最大限まで増やし、同時に相手の手番を最大限まで無駄にすることが重要なのです。