「権利ばかり主張して義務を果たさない人が増えている」という神話
先ほどのエントリー、
人類史上最大のファンタジー物語「人の心が乱れてきている」
こちらと一部重複する内容になるのですが……。
世の中にはたまに、「権利ばかり主張して義務を果たさない人が増えている」という主張をされる方がいますが、これって本当なのでしょうか。
私にはどうも信じられません。
理由は簡単です。
もし本当にそういうワガママな人が増えているなら、
「ブラック企業なんて存在できるわけない」
「サービス残業なんて誰もするわけがない」
と思うからです。
世の中にこれだけブラック企業が横行し、労働基準など守らない企業の方が多いという現状から考えれば、現代社会に万延しているのは「行き過ぎた権利」ではなく、「行き過ぎた義務」ではないでしょうか。
根拠はこれ以外にもあります。
例えば日本では、貧困にも関わらず生活保護を受給する人が少ないそうです。
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/seikatuhogo_qa.pdf
日本では人口の1.6%しか生活保護を利用しておらず、先進諸外国よりもかなり低い利用率です。しかも、生活保護を利用する資格のある人のうち現に利用している人の割合(捕捉率)は2割程度にすぎません。
それからこんな統計データもありますね。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK3100C_R30C13A7000000/
男性の育児休業取得率がガクンと低下した。2012年度の男性の育児休業取得率はわずか1.89%で、前年度の2.63%から0.74ポイント減少
これらを見ていると、私にはどうにも『権利ばかり主張する人』の存在が、リアリティを持って感じられません。
権利がまるでまともに機能していないこの世の中で、
「個人の自由が横行している」だの
「人権偏重教育の弊害」などと言われても、
なんというか、『寝言は寝てからね』という感じです。
結局この問題も先ほど紹介した記事内で申し上げたのと同じで、ごく少数の権利を悪用する人達を、テレビや2ちゃんまとめサイトが面白がって取り上げるものだから増えているように見える。
それだけのことなのではないでしょうか。
2013/10/21 追記
こんなのも見つけました。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131021-00000009-pseven-soci
厚労省調査では有給休暇の消化率は半分(年間8.6日)にとどまり、連合の正社員調査ではさらに低く、「全く取っていない」が約23%、「10%(2日程度)消化した」が約24%と合わせて半数近くに達する。おまけに、未消化分は毎年積み上げられるのではなく、2年間のうちに消化できなければ時効消滅してしまう。
ほらやっぱり、権利が機能してない例の方が多い。
関連記事
人類史上最大のファンタジー物語「人の心が乱れてきている」
http://dshocker.hatenablog.com/entry/2013/10/15/185549
ブラック企業の闇―それでもあなたは働きますか? (晋遊舎ブラック新書 8)
- 作者: ムネカタスミト
- 出版社/メーカー: 晋遊舎
- 発売日: 2008/05/10
- メディア: 新書
- 購入: 2人 クリック: 205回
- この商品を含むブログ (17件) を見る