菊やの【アイスクリームラーメン】を食してきたでござる
そういえば先月に「菊や」のアイスクリームラーメン食べてきました。
「菊や」とは……?
北千住にある個人経営のラーメン屋さんです。
おじちゃんが一人で経営しています。
これだけならどこにでもありそうな普通の店なのですが、「メニューが色々とぶっ飛んでいる」ということで一時期ネット上で話題になってました。例えばアイスクリームラーメンとか……
ロケットニュースさんでのレビュー記事を見つけて以来、ずっと行ってみたくて仕方なかったんですが、八月下旬くらいに知り合いのMK氏とJKと三人でいってきました。
というわけで、まずは店舗の外観。
ドーン!
既に色々とかなり怪しい文字が見え隠れしますね。
コーヒーミルク、納豆、牛乳、アルカリ……
で、いざ入ろうと思ったら閉まってました。
えーーー(゚Д゚)!
ちゃんと営業時間調べてきたのにー!!
どういうことかと近所をうろちょろしていると、裏側の玄関っぽいところからおっちゃんが出てきました。
「あれ、お客さん?」
「あ、はい。今日はもう閉店ですか? いちおう営業時間調べてきたんですが……」
「腰が痛くてね、今日はもう寝ようと思って、今閉めたところだったのよ」
「えーーーー!」
「じゃあ今もう一回開けるから待ってね」
「え? 本当ですか!? ありがとごじゃます!!」
さすが個人経営です。
営業時間「気分」です。
ちょっと都会のきっちりした時間の流れに慣れ過ぎていたため、この展開は予測できませんでした。でもまぁなんとか開けてもらえることになった! やったね!
というわけで店内。
かなり小さいです。
カウンター席が6つあるだけ。
テーブル席はありません。というか、そんなスペースすらありません。
調理場の奥はそのまま自宅になってるようです。テレビがついてました。
そして壁には、明らかに異様なメニューがずらりと並んでいます。
「どれがおすすめですか?」
「どれも毒入りだからね、おいしくないよ」
「えーーーーー!!」
色々お話した結果、MK氏は紫ラーメン、JKは水色ラーメン、そして僕がアイスクリームラーメンを頼むことになりました。
まずは紫ラーメン。どーん!
紫キャベツが乗ってるだけ?
違います。
スープが既に紫です。
先ほどの「毒入り」という言葉が僕の心の中で木霊し続けます。
おじちゃん「酢をかけるとね、ピンクになるんだよ」
ほへー?(゚Д゚)
かけてみました。
おお! ピンク!!
……だからなんだと言われたらそれまでなんですが、とにかく紫ラーメンとは、紫キャベツがたくさん乗っててスープの色がカラフルに変色するラーメンでした。
ちなみに味は普通においしいラーメンだったそうです。
続いて店主がおもむろに牛乳を取り出し始めます。
え、何故、牛乳?
というかラーメン屋なのに当たり前のように牛乳とりだす店主の姿がすげえシュール。
そんで出てきたのがこちら。
どーん!
ぎゃああああああ水色だーーーーーーー!!
こちらもお酢をかけると……
ピンクになります。
原理は一切不明ですが、とりあえずピンクになります。なんだか子供科学実験コーナーみたいな気分になってくるラーメンです。
ちなみにこちらも味は塩ベースの牛乳で、かなり独特ですが普通においしいラーメンだったそうです。
最後にぼくが注文したアイスクリームラーメンがきました。
ぎゃあああああああ
ラーメンにアイスwwww ラーメンにアイスwwwwwww
ちなみにネットで見つけた時はソフトクリーム系のアイスが乗っかってたんですが、この日のってたのはコンビニのモナ王でした。店主曰く、ソフトクリームが売り切れてるらしく、代わりに今はモナ王を使ってるんだそうです。
どの角度から見てもまずそう。
で、実際に食べてみました。
不思議な味でした。
冷やし醤油ラーメンにアイスが乗ってる。
一緒に食べるとひんやり気持ち良い。
また醤油のさっぱりとアイスのクドい感じが意外にも悪くない組み合わせ。
ただし、半分くらい食べたあたりで、アイスのくどさが強く感じられてきて、そこから先は正直あんまりおいしくは食べれなかった。
あと、見た目もひどいことになった。
うげええええええええええ
でもこれ、器が半分くらいの量だったら、最後までおいしく食べれたような気がする。ラーメン器の量で食べるから、デザートとしては大杉に感じてしまっただけで、普通のパフェくらいの量のお皿で出したら、けして悪くはなかったような……
その後、1時間くらい店主との雑談に興じました
とにかくよくしゃべる店主です。そして話が楽しい楽しい。
こう言ってはなんですが、年配の方って
「ろれつがまわって無くて何をしゃべってるかよくわからない方」とか
「笑いのツボがジェネレーションギャップすぎて全然面白くない方」
とかが多いと思うんですが、菊やの店主に限ってはそんなことは全くありませんでした。
僕もMK氏もJKも、店主の豊富な話題と小ネタに、終始笑いっぱなしでした。この店はもはやラーメン屋ではなく、「菊や劇場」というお話屋さんなのではないかと思うほどでした。
店主「知り合いの会社がね、ジャワ島とサイパン島のコーヒー豆をブレンドしてね、国産って言って売ってたんだよ。ウソはついてないよ。ジャワとサイパンだからね。ジャパーン!」
なんで語尾上げたし(゚Д゚)wwwwww
散々お腹を抱えて笑わされた後、不意にMK氏がこんなことを聞きました。
MK「こういう変なラーメンを始めたのはいつ頃からなんですか?」
店主「ラーメン自体は50年くらいかねえ。ふざけたのは20年くらい」
MK「どうして、こういうラーメンを始めるようになったんですか?」
おじちゃん「昔は普通のラーメン屋やってたんだけどね、忙しくてみんな死んじゃったのよ。残ったのは俺と女房だけ。でも女房も病気にかかっちゃってね。なのにあいつは、俺が店を開くと手伝おうとしちゃうのよ。体を休めてろって言ってるのに、俺だけにゃ任せられないって言って、表に出てきちゃうのよ。でもね、ある日俺がコーヒーラーメンてのを始めたらね、あいつ出てこなくなったんだ。そんな恥ずかしいラーメンを出してる店、出たくないって言ってね。だから俺、他にもどんどんおかしなラーメン作ってみたの。そしたら、女房もすっかり店に出てこなくなってね。おかげであいつは、死ぬまでゆっくり体を休められたんだ」
……(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)
菊や劇場には
ラーメンに一生を捧げたとある夫婦達の
人生が詰まっていた。
最後に店を出る時に
お口直しにと、店主がJKにチョコをくれた。
僕とMK氏にはコーヒーだった。
これは、どの客にも必ずあげてるんだそうだ。
コーヒーにしたってチョコにしたって100円前後はかかってるだろうし、ラーメンは一杯600〜900円の標準的な値段。こんなことしてて、採算とれてるんだろうかと少し心配になった。
菊やのおじちゃん。ネットで見た時よりも少し老けた印象だった。腰も曲がっていた。
長生きしてくれるといいなぁ。
そして、またいつの日か食べに行きたいなぁ。
と、心から思った。